
浴室に立ち尽くすおれではあったが、とはいってもいつまでも呆然としているわけにはいかない。道は二つしかないのだ。すなわち、白すじのことは諦めてこのまま重ね塗りしていくか、それとももう一度目止めからやりなおすか、である。じっくり考えた末、やりなおすことに決断する。 というわけで、泣く泣くサンドペーパーで塗料をごりごり落とす。もちろんこれも重労働である。「まいっか値」の下降を気力でおさえつつなんとか完了し、ふたたびプライマーを吹く。作っておいた簡易塗装スタンドがじつにいいぐあいなのでちょっとうれしくなる。よしよしどうやら気力も復活したようだ。 いきおいにまかせて、目止め用にもう一種類のプライマースプレーも吹いてしまう。金属塗装用と書いてあるので当初は使うつもりはなかったのだが、さきほどの二者択一に悩みつつネットで塗装のことをあれこれ調べていたら、どうやら木工に使ってもかまわないらしいのだ。こいつを吹くと真っ白になる。きっと上塗りの赤がよく映えるに違いないと思いどんどん塗る。 |
![]() [PHOTO]ああ痛恨の白すじ。
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| さてここからは、乾燥、磨き、また塗装、の繰り返しである。調子良く作業を進めていく。すると、好事魔多し!なんということだ、またもや愕然とする事態が持ち上がってしまったのである。3回目の塗りが終わってちょうどスプレーもなくなり、あとはクリアを吹くだけだ、と余裕をかましている時だった。乾きぐあいを点検しようと見てみると、いつのまにか、12面あるうちの1面にだけ、小さな赤いぶつぶつがいくつも浮き上がっているではないか。なんだこれは。 乾燥不足か塗りの不均等か、原因はよくわからない。しかし、まだ望みはある、いちばん上に塗った塗料だけがふくらんでいるのなら、ペーパーをかけて落とせばよいのだ。乾燥を待ち、祈りつつ耐水ペーパーをかける。すると、オーマイガッ、つぶつぶの中から真っ白な色が現れたのである。これはプライマーの色だ。なんと、赤い塗料ぜんたいがふくらんでいたのだった。結局、ある面にだけ白い点々がいくつもできている、という状態で塗料が切れてしまったのである。 |
| またもやお悩みタイムである。これは模様だと思えばいいのだと自分に言い聞かせ、クリア塗装に進むという道もあるにはある。だが、せっかくここまで来たのである、「まいっか値」を下げるわけにはいかないのだ。エイとばかり立ち上がり、塗料を買いにいくことにする。 もう一度気力を奮い立たせて、買ってきたスプレーを吹く。白つぶが目立たなくなるまで、2回の上塗りが必要だった。さいわいなことにもうつぶつぶは現れない。最後にクリアスプレーを念入りに吹き付け、これでようやく塗装の完成である。ああ長かった。ほんとに長かったあ。 |
![]() [PHOTO]クリアを吹いて、あとは乾燥を待つばかり。 |
さあ次のステップだ。クリア塗装の乾燥を待つ間に、打面の皮をとめるリングをつくる。つくるといっても金属製のリングはキットに含まれているので、必要な作業は、リングに薄布を巻き付けることと、紐を使ってリングに目を作ること、の二つである。 まずは布巻きである。これは後で皮を張っていくとき、リングが滑りやすいようにするためであるらしい(なお、説明書によれば「無くても可」だそうである)。デザイン上のポイントにもなる部分でもあるので、すこし派手めなハンカチを使って作ることにする。ここでサミサンに協力をあおぐ。ハンカチを2〜3センチの幅に切って巻きつけていくのだが、彼女によれば、こういう作業には「バイアス」という手法が適しているらしい。どうするかと言うと、タテヨコの布目にたいして45°になる方向に布を切断するのだそうだ。ということは、ハンカチは正方形であるから、つまりは対角線に沿って切ればいいというわけだ。 |
![]() ![]() [PHOTO]リングに布を巻く。 |
| などとエラそうに言ったが、実際にはカミサンにやってもらったのである。見ていると、ハンカチを対角線に折り畳んでアイロンをかけ、折り目をつけておいてそこを切っていく。なるほどなるほど。感心して見ていると、切った布を、こんどは90°の角度で縫いつけてつないでいく。おお、これまたなるほどなるほどである。 でき上がった細長い布をリングに巻きつける。巻きはじめと巻きおわりは糸で縫いつけておく。リングは2本あるので、1本はカミサンに頼んだ。いや実は縫いつけは2本とも頼んだのであるが。 |
| 今度は、片方のリングに紐で目を作る。これは皮を引っ張るほうの紐を通すためのものであるから必須なのだ。12個の目を均等になるよう作らなければならない。ほんとうならボディにあてながら作れば正確(ボディの断面は正12角形であるから)なのだろうが、あいにくとまだクリアが乾かない。あっちを引っぱりこっちを引っぱりしつつ、おおむね均等になるよう紐を結んでいく。まあこれは後で修正すればよろしい。
これで皮を張る準備がととのった。クリアが完全に乾くまで待ち、次はいよいよ最終段階である。(その4へつづく) |
![]() [PHOTO]リングに12個の目をつくる。 |
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