アシコ(アシーコ)編 その4
 
 さあてさて、いよいよ最終段階である。まずは皮をビニール袋から取り出し、やわらかくするために10分ほど水につけておく。そのあいだに皮を引っ張るための縦紐をリングとボディに通しておくのだ。この作業、説明書にはイラストがついており、一見複雑そうに見えるのでちょっと警戒していたのだが、イラストをよく見ながら作業すれば意外と難しくないので安心する。ただ、紐がたいへん長いので、一か所に通したあと紐の残りを送っていくのにちょっと時間がかかる。慌てずじっくり、と自分にいい聞かせながら作業を続け、ほぼ10分ほどで完了する。うむ、いいタイミングである。


[PHOTO]リングの目紐に縦紐を通す。
 さっそく皮を水からあげてみると、おお、ほんとに柔らかくなっている。さっきまでカチカチだった感触が指に残っているから、持ち上げるときちょっと拍子抜けしてしまうほどである。よく絞って水気を切り、さあここからが正念場である。

 はじめに皮ぜんたいをボディーと下リングの間に入れこんでおき、皮の端を持ち下リングを外側からつつむようにしながら上リングの内側へ入れていく。ここも説明書をよく見ながら慎重に慎重に。1箇所うまく入ればあとは送っていけばいいので、この作業も思っていたより早くできた。しわが出ないよう全体を引っぱって、これで皮の装着完了である。

 しかしまだまだ慎重な作業を続けなければならない。こんどは先ほど通しておいた縦紐を少しずつ引いて皮をピンと張っていくのだ。これには少し手こずった。単に引っ張るだけならなんて事はないのだが、全体を均等に張っていかなければならない。

 ある程度引いた時点で試しに皮を叩いてみると、ばうん!と、むろんまだピッチは低いがなかなかに響きのいい音がするのだ。おおっこいつは今まさしくタイコになりつつあるのだ。おれは一気にうれしくなってしまい、少し引いてはばうん!も少し引いてはぼうん!とやけに叩きながら快調に作業を進める

 実をいうとそれで少し失敗してしまったんである。均等に引いていたつもりが、横から見るとリングが斜めになってしまっているのだ。修正するべく引き足りないところをうんうん力を込めて引いてみるのだがもう戻らないのである。

 ひょっとしたら紐を全部緩めてもう一度やりなおせば良かったのかも、と今になって思うのだけれど、皮はだんだん乾きはじめているし、音はだんだんいいかんじになってきていてもうあと少しで完成、というところなのだ。まあそれでも、見る方向によっては全然気にならない程度ではある。うん、わからないわからない。んー、ま、いっか。

 そうなんである。最後にきて「まいっか値」がとつぜんがくり、と下がってしまったのだった。やれやれ。


[PHOTO](1)皮を両リングの下へいれ、(2)下リングをつつむように上リングの内側へいれる。(3)しわが出ないように全体を引っぱる。


[PHOTO]皮を引いていく。


 最後にボディにまたがり力いっぱい紐を引き、いい感かんじのピッチになったところで、皮張りを終了とし、あとは最後の仕上げである。

 まずリングの周囲に余った皮を、2〜3センチ残してじょきじょきと切り取ってしまう。まだ乾いていない皮はごくふつうのハサミでちょっとあっけないほどかんたんに切れてしまうのである。

とうとうついに、か、かか完成である。できたできた、おれのタイコができあがったのだ。紐を引く時にこすれて塗装に少し傷がついてしまったが、なんのなんの。あとは皮が完全に乾燥するのを待ち、張り具合をチェックすればよいだけだ。

[PHOTO]余った皮を切り取り、ラジオペンチで丸めていく。
 
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