我が名はULTRA SKY
-10cmドブソニアン反射望遠鏡を制作するの記−

ご注意:このお話はある程度現実に近いとはいえあくまでフィクションであり
実在の人物・団体とは原則として関係あります、もとい、ありません。
★作り方の詳細はこちら----ULTRA三脚のつくりかた


2..ULTRA三脚製作記
 「こりゃあ三脚がいるなあ」
 ウルトラスカイ1号は無事完成し、光軸も数度にわたって微調整したからおおむね満足のいく状態であるが、たったひとつだけ困ることがあるのだ。
 それは「小ささ」である。いやむろん小さいのは百も承知、なにせ「"ミニ"ドブソニアンキット」なのだから。むしろそのコンパクトさが見た目にも悪くないし、しまい場所はとらないし運搬も楽だし、いいことのほうが多いのだが、問題は星を見るときの姿勢にあるのだ。
 こいつを地面に据えると、接眼部の高さは地上50cm〜60cm。ほぼおとなの膝小僧くらいの位置である。接眼部をのぞき込むにはしゃがみこむか、這うように膝と手を地面につけるしかない。これがけっこう疲れるのだ。ファインダーを覗くときは見上げることになるからもっと大変である、膝くらいの高さから天を見上げることを想像していただきたい。最低でも這いずり状態、天頂付近をのぞくには地べたに寝そべるしかないのである。
 芝生みたいな地面ならそれでもまだいいが、そうとばかりは限らない、というよりそうでない場合が常である。それに、作ったころは真冬で、厚着のうえ手袋もしていたからさほど気にならなかったのだが、暖かくなってくると、地面にちらばっている小石や砂利が痛い痛い。
 三脚のないところがドブソニアンの外見的特徴のひとつではあるのだが、もはやたまらん。本格的に三脚づくりにとりかかることにする。

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2001.2.24(sat)
これはまだ事態が切迫する前、ウルトラスカイを作ってまだ2週間しか経っていない時点のメモである。いずれ必要になることを想定して、解説書を参考にしながら三脚の基本構想を立てたのだ。
 めちゃくちゃラフな絵なのでわかりにくいとは思うが、いくつか変更点はあるものの結局ほぼこの構想通りに作ることになる。
 かなめになる台座と脚の開閉部のしくみは、解説書に載っていた図をほぼマネたものだ。合板を3枚同じカタチに切って貼りあわせたものにボルトをとおす、というところがポイント。
そしてウルトラスカイ本体との連結部分、ここが知恵の絞りどころであった、などというと大げさだが、ふだんはたたんでしまっておいて、星を見る時だけ本体に装着できるようにしたいので、簡単にかつ確実に脱着できるしくみが必要だ。結局蝶ネジを使って3箇所ネジどめすることを考えた。外した状態でもネジが保持されるよう、つめ付きナットを使うあたりがミソといえばミソである。また、足が開きすぎないように、あるいが地面が傾いているとき水平を保つための機構にはチェーンを使う。真ん中にS字型フックをつけて開き加減を調節しようという作戦である。本当をいうとこのときには、じっさいに作るのがここまで先になるとは思っていなかったのだ。
   

▲これがULTRA三脚の材料すべて
2001.4.1(sun)
 三脚の材料を購入する。さきほどのメモは頭のなかだけで考えたものなので、店頭で木材やボルトのサイズを調べながら細かく計算と修正をしなくてはならない。
 ここでした一番大きな変更は脚の構造である。構想メモではそれぞれ3本の角材を組み合わせるようになっていたが、売っていた角材の長さがちょうどよさそうだったので、2本をはさみあわせるだけにすることにした。むろん材料費節約の意味もある。今日購入の材料費、しめて税込み¥4,370なり。

 

 
▲ジグソーは慣れが必要
2001.4.29(sun)
材料を揃えてからまたまたひと月ちかく経ってしまった。もはや猶予はない、今日明日で作ってしまうことに決める。
まず、一番大変な作業になりそうな、台座部分の切り出しである。
 Macで書いてプリントアウトした型紙を6mm合板に当て、鉛筆でなぞって寸法線を引き、同じかたちを5枚切り出す。ここで新兵器、電動ジグソーが登場する。このジグソーは先日カミサンの実家でやや大がかりな日曜大工をしたとき購入したものなのだが、じつに便利なしろものである。もっとも、曲線に切ることや、これほど小さなものを切るのは初めてだったため、最初はまるで寸法線どおりに切れなかったのだが、だんだん慣れてきて調子よく切れるようになった。
 けれども切り出したパーツを重ねてみるとまるでそろっていない。エエイいびつさも自作の味、とばかり、このままで行くことにする。どうせ合板はもう切ってしまったからしかたないのだ。

▲切り出した台座のパーツ

 


▲台座と本体底面との連結部分

 台座のパーツを木工用ボンドで貼りあわせる。ここにもちょっと工夫があり、参考にした解説本では貼り合わせたあとで可動部に軸穴をあけるようになっていたが、これは垂直にあけるのがむずかしそうだ。そこで真ん中の1枚を、ちょうど軸のボルトが通る部分だけ切り落としておくことにする。だたしこれだとボルトの外側にあたる部分が弱くなるので、ここだけビスどめしてしまう。
 ここで材料購入から時間が経っていたことによるミスが発生。当初は3枚重ねにするつもりでいたものを、なんとなく薄いような気がして急遽5枚に変えたのだが、望遠鏡本体をとめる蝶ネジは3枚分の厚みに見合う長さのものしか買ってないのを忘れていたのだった。あわてて2枚を引き剥がすそうとするが、即乾性のボンドは早くもがっちりと効きはじめておりなかなか剥がれない。マイナスドライバーをこじいれてようやくべりばりと剥がすことができた。
 やれやれ間に合って良かったが、ボンドのあとがべっとりついてしまった。乾くのを待ってサンドペーパーをかけたのだががそれでも少し残ってしまい、塗装したらひどく目立ってしまうようになった。いたしかたない、これも自作の味のうちなのだ。かたちの不揃いのほうは、貼りあわせたあとでジグソーで削るように切ったら多少は目立たなくなった。



▲仮組みしたところ
 あとは比較的簡単だった、脚用の角材は回転部のカドを落とすだけで済み、各部のボルトどめ用の穴をあければパーツは完成だ。実はまたここでも誤算がひとつ。ボルト類はすべて6mm径のものを選択してあったのだが、ドリルの方が最大5mmの穴しかあけられないのだった。
 今から6mmの刃を買ってこなくてはならないのか、と思ったが、試しにドリルにボルト回し用のパーツを装着し、5mmであけた穴にボルトを押しつけてスイッチを入れてみると、なんとぎゅるぎゅると入っていくのだ。なんというか、ボルト自身がネジ穴を切りながら木の中に入り込んでいくようなかんじだ。柔らかい木材だからできたのだろうが、ちょっと感動してしまった。
すべてのパーツができあがったので仮組みをしてみる。するとどうだ、なんだか本当に三脚に見えるのだ。三本足なのだから三脚に決まっているのだが、なんといったらいいか本物の三脚みたいに見えるのである。
「三脚だあ」「三脚だねえ」とカミサンと言い合う。このあと用事があるので、全体にサンドペーパーをかけたところで今日はここまで。

▲完成した三脚を本体と連結した姿
▲後ろで踊っているのはmako氏である
2001.4.30
さて今日はもう塗装と組み立てで完成である。日中は用があったため夕方からの作業だ。塗装を終え、組み立てを始めたころにmako氏がやってきた。黒く塗装した三脚は、組み立ててみると昨日の状態よりもっと三脚に見える。
「おお、ほんまに三脚や」
「三脚だろう?」
このあたりひどく幼稚な会話だがしかたがない。mako氏もこんなに本格的なものになるとは思わなかったと言っていたが、そもそも作ったおれ自身だってそうなのだ。恒例の「ULTRA SKY」のロゴをもう一枚プリントして、脚の先端に貼り付ける。
 mako氏が戸外の様子を見にいって、
「月、出てるデ」といった。
さっそくできあがったばかりの三脚を駐車場に持ち出し、月を見てみることにする。
 すると、おおなんと、ファインダーに対象を入れるのも接眼部を覗くのも、とても同じ望遠鏡を覗いているとは思えないほどに楽なことこの上ない。気持ち上体を傾けるくらいの姿勢であり、これはもうベストといってよいのではないか。デジカメを出してきて記念写真をパチリ。
 さらにmako氏の帰り際、東の空に火星が赤くのぼっていたのでまたも望遠鏡を持ち出して覗く。この6月に最接近する火星はずいぶん大きくなっている。
 そしてこのとき気づいたのだが、姿勢が楽になったぶん両手の自由度が高くなっており、鏡筒の方向を微調整するのがだんぜんやりやすくなっているのだ。つまり高倍率で覗いていても対象を逃がすことが少なくなっているのだった。
 もう、いいことばかりなのでうれしくなってしまう。

 さあ、次の星見には三脚をかついで出かけよう。

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 さて、これからはどうしたものか。
 ウルトラスカイ2号を作りたいという気持ちは強くある。こんどはもっと口径の大きなものを作りたいのだ。自作用パーツのカタログなども取り寄せてある。
 しかし同時に、この1号をチューンナップしていくという方向性もあるのだ。たとえば今この望遠鏡には口径114mmの主鏡が入っているのだが、価格を押さえる都合上、実際には80mmぶんしか使っていない設計になっているのだそうだ。斜鏡や接眼部をいじることで有効口径を大きくすることができるらしい。あるいはアイピースを変えても見え方はずいぶん違うと聞いた。主鏡をグレードアップするテもある。等倍ファインダーというものも試してみたい。各種フィルターも使ってみたい。

 やりたいことは山のようにあるのだ。どこから手を付けていくか、時間や予算の兼ね合いもあるし今の時点では何ともいえないが、いずれこのページでご報告出来ることを楽しみに、この稿を終えることにする。

(いつかはわからない続編につづく)



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